免震装置・免震台を選ぶときは、載せたい物の質量と外寸に加えて、重心や脚の位置、設置場所の条件を確認します。台の上に収まっても、地震時に動くための空間が足りなければ、そのまま設置できるとは限りません。
最初に整理したいのは「何を守るか」「免震装置・免震台に載せるものの総質量」「どこに置くか」の3点です。この記事では、機器や展示物の免震化を検討する方に向けて、製品を比較する前の確認ポイントをまとめます。
1.何を載せるかで、確認する条件が変わります
同じ免震装置・免震台でも、サーバーラック、検査機器、展示ケースでは、守りたい物や使い方が異なります。対象物の名称だけでなく、使用中の状態まで整理すると、相談時の行き違いを減らせます。
| 対象物 | 最初に整理すること |
|---|---|
| 半導体製造装置 | 付帯設備を含む質量、支持位置、配線・配管の取り回し、メンテナンスに必要なスペース |
| 機器・サーバーラック | 内部機器を含む質量、脚やキャスターの位置、配線・配管の取り回し |
| 展示物・展示ケース | 展示物だけを載せるのか、ケースごと載せるのか。重心、支持・固定の制約 |
| 材料棚・保管設備 | 空の状態と満載時の質量、荷物の偏り、出し入れによる状態の変化 |
たとえば展示物だけを免震台に載せる場合と、展示ケース全体を免震化する場合では、必要な大きさも総質量も違います。見積もりを依頼する前に、免震化する範囲を図や写真で示しておきましょう。
2.質量は、本体だけでなく搭載状態で確認します
製品仕様の「積載許容荷重」にkgで示される値は、免震装置・免震台に載せられる質量の上限です。機器本体だけでなく、付属機器や内容物、固定用の治具など、装置の上に載るものをすべて含めた合計質量で確認します。
たとえば、機器本体が180kg、付属機器が40kgなら、免震台に載る質量は合計220kgです。将来、機器や部品を追加する予定がある場合は、その質量も考慮します。
使用中に質量が変わる設備は、最も軽い状態と最も重い状態の両方を確認します。製品によって対応できる荷重範囲や条件が異なるため、搭載する機器の質量に合う製品を選定します。なお、免震装置自体の質量は積載質量に含めませんが、床が十分に支えられるかを確認する際は、免震装置の質量も含めて検討します。
3.外寸に加え、脚の位置と重心も確認します
対象物の幅・奥行・高さと、実際に台に接する位置は別の情報です。外寸が収まっていても、脚やキャスターの位置によっては支え方の検討が必要になります。底面図があれば、支持位置も一緒に確認できます。
背が高い物や、片側に重い部品がある設備では、重心の位置と高さも伝えます。許容される積載質量の範囲内でも、重心が高い場合は地震時の転倒を検討する必要があります。重心が不明な場合は推測で数値を埋めず、部品配置や搭載状態が分かる図面・写真を準備してください。
4.台の周りに、動くための空間を確保します
免震装置は、地震時に動くことで対象物へ伝わる揺れを低減します。そのため、静止しているときに置ける面積だけでなく、動いたときに壁や隣の設備へ接触しない空間も必要です。

必要な空間は、装置の可動範囲や設置条件に合わせて確認します。壁や隣接設備に加え、巾木などとの干渉も確認対象です。配線・配管・ダクトが短い、硬い、固定されている場合は、装置の動きを妨げることがあります。余長だけで判断せず、接続位置と取り回しを含めて相談しましょう。
設置階、床の状態、周辺設備との距離も伝えてください。免震装置は、水平で平滑な設置面が前提です。傾斜や凹凸があればレベル調整などを個別に検討します。高層階での使用、床への固定、搭載物の固定についても、設置場所と採用製品に応じて確認します。
5.エーエスの製品を比較するときに見るところ
エーエスでは、機器向けのAK1・SSX-E、美術館・文化財向けのHBR・WR・TCRシリーズなどを紹介しています。対象物と用途を整理したうえで、該当する製品の寸法、積載許容荷重、変位などの仕様を確認すると、比較を進めやすくなります。
製品ごとの仕様に加え、対応する揺れの方向も確認してください。たとえばASTCRは、前後・左右の水平方向の揺れを対象とする二次元免震装置です。上下方向を含む対策が必要な場合は、別途相談する必要があります。
相談前に、そのまま使える確認リスト
| 項目 | 整理しておく情報 |
|---|---|
| 対象物と目的 | 何を免震化し、どのような損傷・支障を抑えたいか |
| 質量 | 搭載物の合計。内容物の増減や増設予定 |
| 外寸・支持位置 | 幅・奥行・高さ、脚やキャスターの位置 |
| 重心・安定性 | 分かる範囲の重心位置・高さ、重い部品の配置 |
| 設置環境 | 設置階、床の状態、周囲との距離、屋内・屋外 |
質量や図面が揃っていないときは?
まずは、分かっている条件と未確認の条件を分けて伝えます。型式、仕様書、設置予定場所の写真があれば、追加で確認すべき情報を整理しやすくなります。概算質量だけで製品を確定せず、必要な条件を確認しながら検討を進めましょう。
免震台の検討では、対象物を載せられるかに加え、その場所で適切に動けるかが大切です。対象物の外寸・質量・設置場所をお知らせいただき、用途に合う免震対策をご相談ください。



